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映画「空母いぶき」

 Z国が核ミサイルを誤射。43分後、東京に着弾の見通し-。戦慄の非常事態から、松本清張の異色SF小説『神と野獣の日』(角川文庫)は書き起こされる▼北朝鮮の弾道ミサイルが日本上空を通過した記憶も新たな私たちは、たかが小説と笑っていられまい。国防上の危機は常にある▼邦画『空母いぶき』(24日公開)は、そんな身近に迫る軍事危機が題材。20××年、東アジア海域の日本国領H島が東亜連邦軍に占領される。政府は、いぶきを旗艦とする護衛艦隊を出動させる。命がけの国防…長い1日が始まる▼松本小説は、非常事態に首相らが大阪に出奔する政治屋の醜怪を表出。一方、置き去りの民衆は野蛮人と化し、ミサイル着弾前に文明は崩壊する。平和ぼけの日本人なら、あり得そうだ▼翻って映画は、国防の最前線で戦う男たちの葛藤を描く。自衛隊の専守防衛について、平和憲法の限界を間断なく突いてくる。領土侵略した東亜艦隊の攻撃に、首相は応戦か回避か決断を迫られる。そまま改・護憲議論に重なる▼戦後、多くの政治家が日本の針路を定めてきたが、議論百出の迷走も。ただ、不戦の9条は堅守してきた。劇中の首相は自衛隊に防衛出動を命じるが、映画は無法国家にも「最小限の武力行使を」と訴える。国家間の核抑止力が背景にある世界平和の危うさに考えを巡らせる憲法記念日だった。

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