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映画「高崎グラフィティ。」

 終戦73年目の夏、若者の夢が小さく萎んでいる。バブル崩壊後の低経済成長が、そうさせたのか。何事も〈寄らば大樹の陰〉的な小心が情けない▼邦画『高崎グラフィティ』(18日から群馬・高崎市で先行公開)も、小さき若者の群像劇。同市を舞台に高卒直後の男女5人が進路に悩む。有り体に言ってあまり期待していなかったが、先入観を覆された▼新人発掘の「未完成映画予告編大賞」で初代グランプリを獲得した川島直人さん(27)=大網白里市出身=が、長編初監督の指揮棒を美事に振った。正統派のド直球演出は、なかなか堂に入っている▼東京に出ずとも食うに困らない近郊都市は、ぬるま湯感が漂う。首まで浸かる5人だが、進学、結婚、仕事で口外できない問題を抱えている。川島監督はその心の葛藤を丁寧に描いており、100㌔超の巨漢に似つかぬ繊細な心の持ち主。「自分の青春時代を重ねた」と言う▼鍾馗のごとき豊かなヒゲを蓄えた丸顔の口から「次回作も人を撮りたい」と早くも意気込みが飛び出す。まさしく人を描いてこそ映画である。そして、映画には救いがなければならん▼戦争のない平和な国で、才能を発揮するチャンスは多い。監督は「未完成-」への応募で、総数285作品の中から商業映画化の権利を手に入れた。まだ名もなき諸君よ、失敗を恐れぬ挑戦こそが若さの特権だ。大志を抱け!

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