SSブログ

映画「ペット・セメタリー」

 モダンホラー作家スティーヴン・キングの初期小説には「ハーシーのチョコバー」なる菓子が頻々と登場する。想像するに、歯が溶けそうなほど激甘なのだろう。この駄菓子を作品に出すことで、キング先生が肥満大国の愚衆を揶揄しているように感じた。
 超能力女子高生の復讐劇『キャリー』(1974年)でデビューしたキング先生が、これほど息の長い作家になるとは失礼ながら思ってもみなかった。扱うホラーのテーマがB級すぎるゆえだ。
 今回紹介する『ペット・セメタリー(墓地)』のテーマは、手あかまみれの死者蘇生。しかし、これがキング先生の筆にかかると、まか不思議。何度も映画化される。
 多分、ドローンを使った俯瞰で深~く暗~い森を写し、血塗られた一軒家につなぐ開巻ショットは、キング先生のヒット映画『シャイニング』(80年)を彷彿とさせ、期待が高まる。不安心理をかき立てる効果音とカメラアングルはいたって正統派だ。
 都会から田舎に引っ越してきた4人家族(夫婦と長男長女)。自動車事故で死んだ愛猫を聖なる土地に埋葬したらよみがえったという前振りがあって、まだ9歳の長女がトレーラーにはねられて死亡。父親は禁忌をおかして埋葬するが…。
 結末はチョコバーのような甘味は一切なく、口中に血をなめた時のような嫌な鉄味が残る。人の生命をつかさどる神の領域に土足で踏み込んだ人間に天罰が下る。

nice!(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

ホンダCG125ボクシングジムの新年会 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。