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映画「ソローキンの見た桜」

 史実は、時の為政者によってゆがめられる。偉人の姿形や功績が恣意的に誇張されるのは世の常だ。神格化の始まりである▼では、市井の人の日記という私的視点から歴史の闇をのぞいたら真実は見えるのか。百年以上も前の日露戦争(1904~05年)時、四国は松山市のロシア兵捕虜収容所で、日本の女性看護師と負傷したロシアの将校ソローキンが出会う。実話を下敷きにした日露映画『ソローキンの見た桜』(22日公開)は、2人の日記から悲恋を写実する▼日露戦争といえば、二百三高地の戦いを思い浮かべる読者もいるだろう。旅順の要衝二百三高地をめぐる両国の激戦は、映画の題材となってきた。乃木希典指揮の帝国陸軍が多数の死者を出しながらも旅順を陥落…▼その戦時、松山市では人口3万人余に対し数千人の捕虜を収容していたという。ロシア人の人口密度が非常に濃い。外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管法の来月施行を前に、文化の違いからの衝突が為になる▼閑話休題-。ソローキンは間諜の使命からあえて囚われの身となったが、献身的な看護師にやがて引かれていく。が、彼女にとってロシアは弟を戦死に追いやった憎き敵国だった▼映画は何度も〈汝の敵を愛せよ〉とイエス・キリストの教えを唱えてくる。その実現は子々孫々にわたって世界に恒久平和をもたらす。

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